ブレストはベラルーシのポーランド国境の町。ソ連時代、対ドイツとの防衛最前線。ナチス・ドイツのソ連侵攻・・第二次世界大戦における独ソ戦(大祖国戦争)の始まりである。奇襲攻撃のバルバロッサ作戦に対し、ブレスト要塞は1ヶ月に渡り抵抗を続け多大な死者と捕虜を出した街である。
戦争の善悪に関係なく、国の為に戦った方々には心から敬意を表したい。
このブログのスタンスは善悪、感情論、合理性・・など全て別枠、別問題。私自身はナチスドイツ=悪とは全く思っていない。感じるのは、独裁と言われるヒトラーは選挙で選ばれた人間であり、独ソ戦前にはソ連はバルト三国、フィンランドやポーランド、ルーマニア一部まで占領した。他のヨーロッパの大国もアジアやアフリカに植民地を持っていた時代である。主要国のどこが「侵略」を責められるのか・・ドイツ側からしたらこのソ連がドイツに攻め込んでくる恐怖もソ連への大いなる不信感もあっただろう(ドイツの肩を持つわけでは決してない)。・・お互い様なんじゃ。今もロシアはヨーロッパから信用されてないし、「ロシア?あそこはヨーロッパじゃない」と言われているし笑
エヴァのヤシマ作戦は筆が進むなあ。
ブレストへ
弾丸旅行に来たロシア人友人Zは今日が帰国日。また夜行列車で帰って、翌朝出勤らしい。ビザの関係でミンスクin out しか出来ない私は少し羨ましい。私は列車でブレストへ。ギリギリの時間を取ったとはいえ、 私の便の方が早い。
戦争歴史博物館からミンスク中央駅までは距離がある。
因みに荷物は中央駅に預かり所があり、朝に預けておいた。金額は安いが大概混んでいるので、余裕を持って向かった方がいい。
Z「なにか夕食食べたいけど簡単なものになるね」
閉館時間まで博物館でのんびりしていたので、時間が押していた。
羊「せかしてごめんね。私は最悪パンでも買うから・・」
スーパーをチラ見したりしたが、いいのがないのと私が不安なのとで駅構内にあるハンバーガー屋に行った。
出発までの待合は上の階。来るとき列車で来た彼と比べ、私は土地勘がない。かなり急いでハンバーガーを食べる。彼はアイスクリームを頼んだのに、ハンバーガー2個を先に食べている・・溶けない?
羊「ここって、荷物検査ある?X線の機械の事なんだけど・・」
Z「何?」
羊「マドリッドとか、長距離列車の場合X線チェックがある所もあって・・あれがあると余計に時間がかかるんだよ。その分急いだ方がいい?」
Z「モスクワから来るときは確か無かったと思う」
ミンスク駅には手荷物チェックは無かった(国際線も・・たぶん)。ただ、列車のプラットホームが何故か2層になっていて、私の便は最下層・・わかるかぁ!
彼が周りに聞いてくれ、なんとか列車に間に合った。
通訳や荷物を手伝ってくれたのも嬉しかったけど、何より楽しく話せて本当に合流してくれた事に感謝でいっぱい。Z氏、ありがとうございます。
ロシアは羊の夢の国である。が、こんなに近いヨーロッパにいるのに私はビザが無いのでモスクワには行けない。
自由席だと思ってたので、荷物どこに置く?と彼に聞かれ、隣の座席でいいと言った。その後若い男の子が来て、そこの席なんだという。
羊「ごめんね、自由席だと勘違いしてたわ」
男性「荷物棚にあげるの手伝おうか?」
私のバックパックは20kg弱・・シャンプー類はここミンスクで買ったばかりだし、冬の装備があるので仕方ない。私の力で上にあげるのは無理である。
さっと上げてくれた。そして彼はブレストに着いた時も降ろすのを手伝ってくれた。
普通の人、通りすがりの人は凄く助けてくれる。が、どの店だろうと(特に駅員など国営系)は塩対応どころで無いあしらいである。これはウクライナも同じだった。多分ロシアもそうだろう。駅員とは何度も言い合いをしてる。メモとか用意していても・・あまりに腹が立って他の旧ソ連経験者に助けを求めると、「国鉄HPで便や列車番号を調べてスクショ見せます」と2人からきた。・・その手があったか。そこまでしないとダメなのか。
人生初。職質
ブレストから予約したドミまで歩いて2〜30分。バスは・・マップに表示されない。タクシーも気配がない。マジか、暗い中を歩くしかないか。
時刻はすでに23時を超えている。重い荷物を抱えてふらふらしていると、「ちょっと君」と警察に囲まれた。人生初職質をまさかこんな所で・・海外の警察はよくわからない。スペインは州ごとに制服もパトカーのカラーも違うし、警官の格好と軍服と何種類かあり・・警官、憲兵、軍人??今私と話しているのは軍服だ。
警察「パスポートある?」
羊「はい。一応これも(デンマークのレジデンスカード)」
警察「なんでブレストに?」
羊「旅行・・sightseeing, travel..tourist」
ツーリストでやっと通じた。私も英語は話せないが、向こうは更に話せない。職務に必要な英文だけ覚えている感じだ(勿論彼は悪くない)。困った事になったな・・私はSIMカードを入れているが、モスクワ行きの友人はSIMを入れてないので国境を越えるまでは連絡できない=通訳してもらえない。
警察「今後の予定は?どこから出国する?」
ミンスク→ブレスト→ニャスヴィシュと移動し、ミンスクout予定と説明する。ビザフリーなので、冗談でも「こっからポーランドに行くんだ」と行ったら間違いなく面倒になる。
羊「重いので、荷物下ろしていい?」
長くなりそうなので、20kg弱のリュックを降ろす。若い軍人さんが手伝ってくれた。暇なのか面白がって他の警官もぞろぞろ見に来たが、大した事ないと去っていった。
警察「レジストリー持ってる?」
羊「ミンスクで登録頼んで、宿の人がやってくれた筈なんだけど・・特に何ももらってない」
警察「紙を受け取ってない?」
これ?と見せたが、ただの宿の領収書だった。
羊「他は特にもらってないし、私は彼女がちゃんとやったか知らないのよ。宿の番号あるけど、電話する?どうしたらいい?」
警察「ブレストで必ず登録して。いいね。インターネットか、警察署で出来るから。もらってないならしょうがないし今回はいいよ」
ここまで、身振り手振りで横入りの通訳・解釈もいれながら、20分以上。ぐったり疲れた。
若い軍人さんが荷物を再度背負うのを手伝ってくれた。他に手伝う事はある?と聞くのでついでに宿への行き方も聞いた。
警察「バスはないし、ここは小さいまちだからタクシーもないよ。Googleマップのこのルートが1番わかりやすくて安心だ。平和な街だから、心配しなくて大丈夫」
軍服は威圧感があるが、実際職務に忠実で親切な印象だった。ありがとう、とお礼を言って歩いて宿まで帰り、チェックイン時にそのままレジストリーを頼み、翌朝無事用紙を受け取った。
このレジストリー(滞在登録)は未だによくわからない。警察には各場所で取れと言われたが、ニャスヴィシュで登録をお願いすると前のがまだ有効中と言われるし、最後の出国検査では足りないと言われるし・・
詳しい体験・感想はこちら↓↓
スラヴの賄賂について
友人のロシア好き大先輩旅友から
ロシアの警察は賄賂要求してきますよ。レジストリー(ロシアも滞在登録必要)って曖昧で、移動日どうするねん?とか。で、路上で職質されて、ハイ罰金!と賄賂要求して来ます。
と聞いていた。
羊、今まで賄賂未経験。日本でも自分の仕事柄接待をした事もなく(むしろ僅かながら受ける側)、それも年々縮小傾向にある。昔は旅館に泊まったり、病院で治療を受けるとお礼に金品を渡したそうだが・・これ賄賂じゃないし。
ベラルーシ→ウクライナと来て、キエフで沈没したドミが凄く居心地がよく、偶然揃ったメンツにも恵まれ、夜に色々な話が聞けた。
元々はミニバス(乗合バス)の話をしていた。
羊「ウクライナ移動ってどうすればいいの?列車は駅員が冷たいし、バスはミニバスばっかりで予約できないし」
A「ミニバスは個人経営だからね。僕は嫌いだ。運転は荒いは運転手もいい奴らではないし」
彼はウクライナ東部国境付近の街在住で、キエフに仕事を探しに来ている。外務省の安全情報の・・右端ルハンスク州である。
このウクライナ対ロシアは語ると長いので、別記事で。
キエフは街が綺麗で、他のヨーロッパと同じくブランド店もある。が、忘れてはいけないのはウクライナは貧しい国だ。そしてロシアと共に深刻な経済危機にある。
彼曰く、ウクライナのミニバスは個人経営、勿論違法。地元の警察に賄賂を渡して見逃してもらう・・だからまともな会社とかではない。と。
羊「賄賂?冗談でしょ?」
A「本当だよ。例えば僕の親が病気になったんだ。ウクライナは本来病院も薬も無料だ。だけど僕は医者にお金を払った。じゃないと助けてもらえないからね」
羊「無料医療なのに?」
A「払わないと「・・うん。ここでは治療はできないな。別の病院へ行けば?」って感じになるんだ」
お互い拙い英語の中、翻訳機を使いながら教えてくれた。
羊「ウクライナで賄賂要求があるのは警察と医者だけ?」
A「対応する人にもよるけど、基本はこの二つかな」
羊「他のスラヴは?」
A「ねぇ、ベラルーシってどう?彼女と賄賂について話してるんだけど」
正面に座る女の子はベラルーシ・ミンスクからの旅行者だ。
B「ベラルーシも警察は賄賂を要求するわよ。医療は払った事ないかな?一回「Take it」って言っても最初は受け取らない。3回くらい言って押し付ける形で受け取ってもらうのよ」
A「他にはパトカーの窓に挟んだりね」
羊「・・ロシアは?」
A・B「ロシア!あっこはもっと酷い。賄賂大国だよ。ロシアの警察はゴミだよ」
繰り返すが羊はロシア未踏なので、正誤の責任はもたない。
羊「私、ベラルーシのブレストで職質されたんだけど、親切だったよ。英語が通じないから20分くらい話したけど」
B「あくまで警官によるから。あと、私たちは彼らのツーリストに対する態度はわからないし」
まあ、そりゃそうだ。
アジアは?日本や韓国、中国は?と聞かれ、同席していた来日経験ありのアメリカ人Cと私が一斉に首をふる。
羊・C「No. Never.」
C「日本は賄賂はありえない。物凄くルールに厳格な国だから」
彼のネイティブ英語は一部聞き取れないが、ありえない。と強調してるのはわかった。
羊「日本と中国、韓国は距離は近くても文化はかなり違うから。韓国は私は知らない。中国は賄賂は聞くけど、実際はわからない」
B「そうなのね。アジアはルールを守る国だと聞いていたから。羨ましいわ」
羊「日本でもし警察が賄賂を要求したとしたら大問題になるよ。即、他の警察に通報していい」
B「いつか行ってみたいわ」
ウクライナの経済状況が好転しない限り、現状日本行きは難しいだろう。安易に「是非来て」ととても言えないのが悲しかった🐏☔️