デンマーク、ユトランド半島の北部、工業都市オールボー。この地に滞在するきっかけは・・そう、散々愚痴ったCPR(住民登録)問題である。
ぶっちゃけコペンハーゲン以外ならどこでも良かった。どうせ短期滞在で働く気はないし、コペンハーゲンには手続き含め4回は行っている・・飽きた。どうせならもっと物価の安い(デンマークは物価高)田舎の適度な街でのんびりしたい。そう思ってFacebookのルームメイト探しに片っ端から登録し、1番連絡が来たのがオールボーだっただけの縁である。幸いいい部屋を見つけ、ルームメイトが新人を外に連れ出すタイプだったので思った以上にわずか1ヶ月でしっかり堪能した。
そんなオールボーでの生活(ニート)含め紹介🐏!
オールボーでの生活
コペンハーゲンから格安Flix busに乗りオールボーへ。観光目的なら経由地のオーデンセやオーフス、脱線しリーベもいいと思う。
海を渡る時に見た風車群。風力発電に力を入れているデンマークならではだが、どことなくエヴァ的な終末的な感じがする。
着いてすぐ、ゲストハウスを拠点にし、一気に内見させてもらう。熱帯夜のスペインから薄手のダウンが必要なデンマークに来て風邪を引いてしまい、アポを1日ずらしてもらったりしながら。内見して気づいた事は、デンマークの一般的?なアパートは日本ともスペインともまた違うという事だ。予算5万〜6万前後では市内中心部の便利な立地では古い団地やアパートが多く、エレベーターがなかったり、洗濯機と物干し場は地下に共同場所があったり。5階とか上階に住み、買い物や洗濯のたびに登り降り・・地獄。郊外の新しいアパートは学生用でも同じ値段でオートロック、エレベーターあり、各自洗濯機だったりするので、場所にもよるのだろう。
選んだアパートの決め手となったのは、部屋が一階だった事と近くの公園がのどかで素敵だった2点である。
ルームシェア自体スペインが初体験だったのだが、それは母息子のアパートに間借り的な珍しい?ケースで、同世代かつ男性とのルームシェアは初めて。できれば女性が良かったが、緊急で決めなければいけず贅沢言う場合じゃなかった。男性と二人きりは何となく断り、同居人は男性二人。一人はかなり昔からいて、リビングの家具もほぼ買ったであろうM。もう一人は基本部屋にこもるかアルバイト&授業に出るかでほぼ関わりがなく、1ヶ月経った今彼の名前がガチで思い出せない。
こうしてCPR取得に市民センターに通いながら部屋でゴロゴロするというデンマーク生活が始まった。たまにベトナムやタイ料理を食べに行く他は完全自炊である。とにかく物価が高いのだ。スーパーでライスプディング?用の米が日本の米と近く、さて米を炊こうと鍋を洗っていると・・
M「炊飯器あるよ。使う?」
羊「何であるの!?」
M「いっときライスボウルを作るのにハマったから。安もんだけど」
確かに安物で、炊飯と保温のシンプルなスイッチしかない簡単なものだが、神レベルに思えた。スペインでずっと鍋で米を炊いていたので泣
他に驚いたのが、スーパーで柔らかくふかふかのパンが手に入る!中々日本人好みのふんわりパンは売っておらず、西南欧:しっかりめハードパン、北東欧:黒パンで、私の1番の好みのパンは旧オスマントルコ圏で手に入るトルコのエキメッキだった(羊偏見)
1ヶ月、1番安いパスタを使った鳥ラーメン、バーガー、和食のローテーションを組んだらかなり食費が浮いた。特にパスタ・・
ちなみに同居人達は料理をしない。一人はヨーグルトやサラダを部屋で食べているようだし、Mが料理をするのはイベントだけである。
オールボー1可愛い通り❤︎
理系男子M
オールボー出身・在住・就職のM。デンマークの帰宅は早く、夏は長い。1ヶ月しかいないという事で色々連れ歩いてくれ、凄く感謝してる。そうでなければ部屋で寝るだけの日々だった。
引っ越してすぐ、近所のビューポイントを案内してくれた。
小さい街なので、少し郊外に歩けば草原が広がり、羊がはむはむしている。夜になると市内中心部でも野うさぎが出る。川ではなくフィヨルドにより街は北と南に分断され、自然は豊か。が、釣りは禁止・・ん?
羊「誰も魚釣りしてないね」
M「ライセンスがいるから」
・・目の前の海で釣りをするのにライセンス?彼は英語が堪能だが、私はイマイチ・・勘違いかもしれない。デンマークは海に囲まれた小さい国なのに魚より肉食文化で基本魚は高い。スーパーの魚は明らかに新鮮ではない。
羊「・・生で食べるにはどうしたらいいの?」
M「生!?」
羊「うん。寿司と同じ。生で食べたい」
M「魚屋に行けば新鮮だよ。ただ、高いよ。スーパーのは加熱して、生食は僕はおすすめしない」
本気で驚かれてしまった。海に囲まれて魚食文化がない方が驚くのだが。デンマークに一時住んでいた友人におススメされて鯖の燻製を教えてもらった。これどこで手に入る?とMに聞いて数日後、友人とキャンプに出かけていたMがお土産に買ってきてくれた。
パリパリの皮は硬いので残す。
以下はMにおすすめされたデンマーク料理とソース。
一緒に買ってきてくれたので、黒パンに魚とつみれを載せ、ソースをかけて食べる。
・・美味しい。柔らかくしっとり。が、そもそも私は黒パンが好きではない。これは醤油でしょ。とチーっとかけていると
M「NO!信じられない、絶対美味しくないよ」
羊「寿司知ってるでしょ?あれと同じだって」
黒パン、マヨネーズ、醤油。うん。黒パンが邪魔だ。ご飯を炊くべきだった。
M「僕はそんなに魚好きじゃないし、久しぶりに食べたよ」
羊「結構余ってるよ?」
M「食べなよ。せっかく買ってきたから」
2日かけて鯖丼と鯖サンドにして食べた。よくわからんソースがかかるレストランの食事より、こういうシンプルな料理はマジで沁みる・・
M、普段は色々な粉末をシェイクした栄養機能食品が夕食になっている。本人曰く栄養バランスは完璧でお腹も膨れる。
M「ほら。君が料理を始めて終わる頃には僕は食べ終わってるよ。合理的だ」
羊「それ美味しい?」
M「美味しいよ。それに無駄に太りたくないからね」
面倒だな理系男子。Mの趣味はボルダリングで兎に角外に出たがり。部屋にはダンベルも転がっている。
かと思えばグラノーラを一から作ったり、手作りのジュースを作ったりしている。
・・マジで面倒だな。男性が妙にこだわりたがるのは世界共通か。
こだわりと言えばデンマークは大麻は違法である。しかし日本の様に警察が出動とまではならず、半黙認。コペンハーゲンのクリスチャニアでは白昼堂々と売られている。
発端はMに連れられて友人Aの家にお邪魔した事である。昨日一緒にジュースの自作に勤しんでたらしく、飲ませてもらった。生姜がきつい・・
羊「なにこれ?」
テーブルの上には小さなジップロックに入った乾燥した葉っぱがある。
B「紅茶だよ(`・ω・´)」
嘘つけと思いながらその場を後にした。
後日、こいつはいけると思われたか、燻す器具など一通り見せてもらった。匂いも嗅いでみたが独特の匂いはするが今一記憶に残らない。
M「試した事ある?」
羊「ないなぁ。煙草も嫌いだし」
M「でも君はお酒は飲むでしょ。これ(何とは言わない)は酒より安全だよ。アル中で死ぬ人間の方が多いんだから」
それはおまいらの酒量が異常なだけである(`・ω・´)!!
M「見てみてこれ、育てたんだ」
羊「・・これ、Mの部屋のクローゼットでしょ?普段掃除機を置いてある・・」
M「そうそう!体に良い物を作りたくて、ライトも買ってきて笑」
こだわり健在。
何をとは言いませんが、羊は反対派です(`・ω・´)日本での合法化も断固反対します!
セメント貯水池へ
理系・・とは言ってもジャンルはそれぞれ。Mはテクノロジー大好き青年であった。イーロン・マスク支持者で宇宙大好き。リビングでお互いに好きなYoutubeを見ていたが、宇宙工学やテクノロジー関連は大好物のようだ。そしてちょこちょこ日本に関する動画を流し、感想を求めてくる。
羊「・・欧米人(特にアメリカ)から見た歴史観だよね」
M「ま、そりゃそうだよね。歴史は後世が作り変えるから」
赤穂浪士についての動画を見たときは説明に困った。何より、わざわざ赤穂浪士の墓まで行って解説するYoutuberがマニアックに思えた。
羊「えっと、まず江戸城で自分の主君が切りつけ騒ぎを起こして、藩・・つまり自分達の城が取り潰されたのね。で、侍から浪人になって」
M「復讐を果たしたんだね。なぜ最後に切腹するの?」
羊「敵討ちには政府の認可が必要で、これは認可外で勝手にやったことだから死罪になるのね。で、当時武士にのみ許された死に方が切腹で。でも腹を切っても人間はすぐに死なないし苦しむから、介錯人が首をはねて楽にしてあげる」
あくまで私の歴史観です!
機械類は本当に苦手な私・・リビングやシャワールームに電飾を巻いてライトアップが変えられるようにしたり(ラブホか)、ヘアアイロンが壊れたと半田ごてで直したり(学校で習ったらしい)、飽きもせずテスラの性能や未来を語ったり(私に英語の理解能力がないのを承知で)。
部屋でなんか育てるは、男友人三人とつるんで廃墟に不法侵入して動画を撮ったり(これは誘われなかった。動画みせるなら誘ってくれ)・・年齢差があるのもあり、大学生の悪ガキ達をみている気分だった。微笑ましい。
ここで赤裸々に書いても(多分)怒られないんで好き勝手に暴露。
外出中に勝手にカメラマンになり盗撮した写真を共有するといい、Google photoの共有を教えてくれた・・知らなかった。ついでにデンマークでどこがオススメか教えろというと、Googleマップを共有してくれた・・これも知らんかった。
M曰く、オールボーはセメント工場で発展した工業の街だそうだ。デンマークは物価が高い、つまり賃金も高い。中国からの安価なセメントに負け、次々と工場は閉鎖されているらしい。街の中心部には工場跡地を改築した建物も見られる。
Mのマップにひときわ綺麗な水色の池があった。聞いたらセメントの貯水池だというので行ってみる。
暇だし市内からひたすら歩いて1時間弱。入り口は超わかりにくかった。
綺麗な水色。対岸には風車も見える。パステルカラーの水面が画面に収まらないくらい続いていく。風が強いので水面の波立ちもあり綺麗。ただ・・ここにいて体にいいのかな?
ちなみにここ↓↓
いいもの見れたと帰りものんびり帰った。途中には昔ながらの風車を展示する博物館?も。
北欧の夏は日が長い。時間を気にせず遊べるのは良い事だ。
Tall ships racesとフィヨルド
7月上旬、オールボーではトールシップレースが開催される。競争するのかと思ってたら大きな勘違いで、世界中から帆船が集まる祭りだそうだ。
市内中心部のフィヨルドに集合する船。川ではなくフィヨルドで、右に行っても左でも海にたどり着く。
この船達は航海の訓練も兼ねているらしい(うろ覚え)。
この日、M、友人Bと一緒にビール片手に観光した。このデンマーク伝統的な建築物がオールボー城である↓↓
Mから城と説明されて笑ってしまった。
M「この街はしょぼい建物しかないから。ストリートアートの方がよほどおしゃれで面白いよ」
言葉通りここオールボーにはウォールアートが異様に多い。アートの街なのだ。
ウッツォン・センター
M「これ、シドニーのオペラハウスを作ったのと同じ建築家作」
羊「マジで?いやこれはあまり・・」
M「はは、しょぼいよね笑」
酒が入っているので評価も辛辣。酒好きだがアルコールに弱い私はちびちびと、二人はあっという間に開け、次の一杯に入っていく。
本日はクイーンのコピーバンドをやるので、ステージ前は大賑わい。
デンマーク人って全体的に背が高い。そして髪は金髪でなく、茶色がかった方が多い印象。目の色は様々。街を歩く欧米女性は金髪が多いが、地毛ではなく脱色の成果だったりする。
日暮れが遅く、花火までまだ時間があるので、街中を(私に)案内した後、友人宅で飲みながら待つことになった。フィヨルドから見える夕日は本当に綺麗だった。
燃えるような夕日。
モダンデザインのコンサートホール。
M「この床(階段下の色の違う部分)、元々はガラスだったんだよ」
羊「ほう。」
M「数年前に女王(デンマークはロイヤルあり)が来た時に、スカートの中が見えてはいけないから変えたんだ」
羊「わはは。それ、一般の女性も同じでしょ」
天井は鏡の攻めたデザインになっている。
建物ベランダからはお祭りの賑わいが見える。と言っても田舎の街なのでさほど多くなく快適。
野良うさぎ達。
Tall ships races②
友人C宅は港の近く。男子三人、学校も同じ。職場は2対1に別れても分野はほぼ同じ。いつもつるんで遂に母親からゲイ疑惑がきたらしい。
インド映画の名作、3idiotのようだ。
これは本当に名作だから是非見てほしい。自分の暮らしや幸せをふと考えるのに良い映画。学生の年齢をはるかに超えているのにまったく感じさせないアーミル・カーンの名演技に脱帽。
酒を買いこみながら友人宅へむかう。基本ビニール袋は有料なので、酒ビンをポケットに突っ込んで。一緒にいる間のお金は基本Mが払ってくれた。
M「ここ、オールボー1の歓楽街。今は大したことないけど、金曜の夜とか人で溢れるよ」
飲み屋とストリップ関連。日が沈むにつれ座り込んでいる人、吐いて寝てる人、通行人に絡む人など「大酒呑み」デンマーク人の姿が見れる。
どこの国も酔っ払いの姿は見苦しいものですな(`・ω・´)!
「月曜から夜更かし」大好きな私。自身も酒で醜態を晒しているので、決して人の事は言えない。大人のみんな、自己責任で酒はセーブしよう、うん。
良い感じのウォールアート達。
デンマークはノルウェーが欲しいナチスドイツに中継地として狙われ、数時間で降伏したという何とも情けない国。ナチスネタはタブーのドイツと違い、M達からは自虐を含めたナチスねたのsarcasmが出るわ出るわ。
このヨーロッパのsarcasm、私は聞いても今ひとつ面白くない。北アフリカ出身の友人Hの反応も同じく。笑いを理解するには背景知識と文化理解が必要。笑いが1番難しい通訳泣かせなんじゃないだろうか。
部屋で酒を飲みながら、Youtubeでロックやパンクのメドレーをかけ時間を潰す。Mの友人達もいい人達で、何とかわかりやすい英語で話題をふってくれた。こういう機会があるたびに、高校の頃もっと勉強しておけばと反省する。
花火は川向こうに打ち上げられる。
今年も浴衣は着ていない。私の地元の花火大会はかなり有名で大掛かりなもので、花火を見るたびに・・日本に帰ろうかな・・と望郷の念にかられる。ひとりで見ると切なくなるので、わいわいと騒ぎながら見れて良かった。
このあと、荷物を置きっぱにしている友人宅に帰るのに、MとBは立ちションしに茂みに消えた。
ヨーロッパで私は一体何度立ちションを見てきたか。とりあえず男性が通行人に背を向けていたら可能性大。スペインで「女性でも車の影とかで座ってしてる」と聞いて絶句したが、ここオールボーでM達3人で歩いていて抜け道を通り、ふと振り返るとおばさんが座ってしてた。うっかり目があって、お互いに笑ってしまった。 M達も笑っていた。
さて。残された家主Cと羊。Bとは何度か面識があったが、 Cとは今回が初対面である。待っていたが茂みから出てこない。電話も通じない。顔を見合わせ、とりあえずC宅で待つ事にしてアパートに帰ると・・物置に隠れようとする馬鹿二人が見えた。
顔を見合す羊とC・・よし、無視して鍵閉めるかどうするかと言いつつ合流した。
永久に三人でつるんでいて欲しい笑
後日。船が停泊してるうちに、一人で夕日を見に行った。夏のデンマークの燃えるような夕日は本当に綺麗で何度見ても飽きないから。
オールボー1可愛い街角❤︎
この日はMの幼馴染Gちゃんがアパートに遊びに来た。普段料理をしないMがベジバーガーを作ってくれた。私の分も。事前にしっかり誘われるでもなく「この日誰々来るから」みたいに言われ、いたら参加、気が向かなかったら不参加してる。
と思いきや「今度BBQするから」と言われ、誘われてる認識がなかった私は思い切り別の人との約束を入れた。当日「え?食べないの?と」いや、はっきり誘って。
M、Gちゃんと三人で特に食べ終わると用もなく・・日はまだ高いので出かけたいと主張するMに合わせ、街を案内してもらうことにした。
可愛いよね❤︎デンマークの家と立葵。
なぜか傾いた家。傾き具合を表してくれるMとGちゃん。
M曰く、元々のデンマークの住宅様式はこういう↑木組みの家なんだそうだ。
羊「これ、他のスカンジナビアでも見たけど、違いがわからない」
M「文化が共通だから基本は同じだよ。ただ、ノルウェーの方が木が多いと思うよ。奴らには森があるからww 」
爆笑した。たしかにデンマークには森らしき森がない。ナイス自虐。
ここ↓↓はオールボーで1番可愛く素敵な街角。市内中心部の商店街から一本入るだけだから是非探して行って欲しい!!
M「あれ↑見える?」
住宅に隠し鏡が付いていて、室内から通りを眺められるようになっている。
羊・G「何のために?」
M「そりゃ知らん。」
小さな通りなのだ。客を見張る必要もお互い監視する必要も感じない。・・何のために?鏡付きの家は他にも2件ほどあったと思う。
三人で適当にパブに行き、ビール片手に話す。ここもMの奢り。そもそも物価も高いデンマーク、あまり外食する文化ではない。それでも週末にはレストランやバーは人でいっぱいになる。
適当に話しながら夜はふけていく。酔っているのは私だけだが、どうせ同じところに帰る同居人がいるので安心。
残念ながら私自体が出不精なのと、ついに案内するネタが切れたのとで月後半はあまり一緒に外出しなかったが、「壁があり、他人に興味ない」と言われるデンマーク人の中で、Mは面白い人だった。
またオールボーに行くことがあれば寄りたいが、中々機会がなさそうで残念である🐏